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玉のごとく

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(c) Mayumi Ishii

 私は中国の陶磁器が好きです。

 白磁なら端正で薄手の造形美がきわ立つ北宋代の定窯、生き生きとして闊達な職人の手さばきが文様に表れている磁州窯、ぽってりした丸みが、うっとりするほど魅力の唐代の荊州窯。青磁なら、江南の春の空や温かな水を思わせる龍泉窯、釉薬の厚みがふわりとした優雅さを醸す南宋官窯、冷たさと温かさの境に存在するような色の汝窯、そして景徳鎮の職人の技が光る薄手の染付け。

以前、中国やきものの旅というテーマの取材で、中国の産地や遺跡の場所をあちこち訪れて大好きになったのですが、昨年の秋、久しぶりに景徳鎮に取材に行った時は、新しい動きがたくさんあって、滞在が楽しすぎて帰ってきたくなくなるほどでした。

 だからでしょうか、日本でやきものを見る時も、つい、中国陶磁器に似ているものが好みになります。例えば、佐世保の三川内焼きは、豊臣秀吉が朝鮮戦争時に陶工を朝鮮から連れてきて始まったものとはいえ、もとは中国の影響を受けていることだろうし、染付の文様や風合いに中国陶磁の面影を感じます。また、大分県の小鹿田焼きも好きなのですが、飛び鉋とよばれる文様の技や釉薬の色合いは、磁州窯の刻花の技に似ています。

 ある日、たまたまネットで、青磁の作品を見かけました。最初、中国陶磁かなと思ったら、作者は日本人でした。その作風が気になり、ネット検索すると、ホームページは見当たらないものの、いろいろとその人の作品が出てきて、これまた中国の古陶磁に似ているのです。お皿などの形や色合いもクラシカルな感じで、どことなく龍泉窯で、汝窯で・・。となると、実物の作品を見てみたくなりますが、各地での展示会などをベースにしている作家さんのようで、見る機会がなかなかありませんでした。

 そんな中、ある手仕事マーケット的なイベントに出品するらしいことをネットで見つけ、行ってみました。そこで、とうとう作品を実際に目にすることができたのです。そして作家さん本人も。その方の名前は石黒剛一郎さん。貫入の入った青磁のお皿について「これは龍泉窯風ですよね?」と聞くと「そうです」とのお返事。「そして、こっちは汝窯なんです」と別の作品を示すのです。すっかり嬉しくなり、「この白磁のお皿はもしや定窯を?」と聞くと「もちろんです」との答え。

思ったとおり、石黒さんは中国の古陶磁を意識して作品作りをする陶芸作家さんだったのでした。あらためて作品をよく見ると、南宋官窯を思わせる雰囲気のものもあったりと、作品のたたずまいが落ち着いていてどれもすてき。中国陶磁話でひとしきり盛り上がり、日本では大阪の東洋陶磁美術館がいいとおすすめされました。

 実は、しばらく前に自宅の急須を割ってしまったばかりだったので、石黒さん作の急須を買って帰りました。ちょっと大きめですが、ふっくらしてシンプルな形がお気に入り。こちらは青磁というより青白磁とのこと。ろくろで本体の形を作り、注ぎ口と取っ手をつけたそうです。ふたの部分の最後の仕上げが一番大変だったなどの話をしてもらいました。やはり、作った人がわかるものっていいですね。

 買ってきた急須は、使い勝手もよく考えられたデザインで、とても使いやすいです。それも生活の道具として、大事な要素。写真では見えませんが、茶葉が注ぎ口から出ない設計になっていて、水切れも良し。さっそく毎日のように自宅で使っています。

 石黒さんは現在、愛知県の瀬戸市に近い岐阜の多治見市に工房を持っているそうです。定窯白磁の特徴の一つである彫り文様ももっと手がけたいとのことなので、どんなやきものを生み出すのか、今後も楽しみにしています。






by mayumiish | 2018-06-30 07:30 | 日本

感恩の歌


あはれ はらから 心せよ 山より 高き 父の恩
海より ふかき 母の恩  知るこそ 道のはじめなれ
児を守る母の まめやかに  我が懐中を 寝床とし
かよわき腕を まくらとし  骨身を削づる あはれさよ
美しかりし 若妻も  幼兒 一人 そだつれば
花のかんばせ いつしかに  衰え行くこそ かなしけれ
身を切る如き 雪の夜も 骨さす 霜の あかつきも
乾けるところに 子を廻し  濡れたる處に 己れ伏す
幼き ものの がんぜなく 懐中 汚し 背を濡らす
不浄を 厭ふ 色もなく  洗ふも 日々に 幾度ぞや
己れは 寒さに 凍えつつ  着たるを脱ぎて 子を包み
甘きは 吐きて 子に與へ  苦きは 自ら 食ふなり


幼児乳を ふくむこと  百八十斛を 超すとかや
まことに 父母の 恵こそ  天の極まり無きが ごとし
父母は 我が子の為ならば 悪業つくり 罪かさね
よしや 悪趣に落つるとも 少しの悔いも なきぞかし
若し子 遠く 行くあらば 帰りて その面見るまでは
出でても入りて 子を憶ひ 寝ても覚めても 子を念ふ
髪くしけづり 顔 ぬぐひ  衣を求め 帯を 買ひ
美はしきは 皆 子に与え 父母は 古きを 選むなり
己れ 生ある その内は 子の身に代わらんことを思ひ
己れ 死に行く その後は 子の身を守らんことを願ふ


よる 年波の 重りて いつか 頭の 霜白く
衰へませる 父 母を 仰げば 落つる 涙かな
ああ ありがたき 父の恩 子は 如何にして 酬ゆべき
ああ ありがたき 母の恩 子は 如何にして報ずべき


達筆の母が、いつ書いたのだろう、
筆書きでしたため保存していた紙を見つけました。

調べると、古くに中国から伝わった仏教の「父母恩重難報経」に由来し、
竹内浦次という人が作詞した吟詠歌のようです。
心にしみる言葉だな、「感恩」・・・。

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(c) Mayumi Ishii






by mayumiish | 2018-06-23 22:16 | 日本

『第2回 カタコトの会展 型彫り、型染め、カタヤブリ!』

ごぶさたしています。
ブログにログインしたのがとても久しぶりということに気がつきました。
時々見に来ていただいている方がいたら、すみません。
今年の後半こそはマメに・・・!

今日はイベントのお知らせです。

『第2回 カタコトの会展 型彫り、型染め、カタヤブリ!』がスタートしました。

6/4(月)〜6/10(日)
会場は盛況だった昨年と同じく、江戸からかみ東京松屋 4F(銀座線 稲荷町駅)。

カタコトの会とは、伊勢型紙を彫る現役の職人さんたち、型紙をそれぞれの技法で染める職人さんたち、デザイナーさん、こだわりの手織物を作り出す職人さんたちが伊勢型紙の世界を知ってもらって、広めようという趣旨で作られた会です。私は写真撮影&応援の協力メンバーとして参加しています。6/4の読売新聞朝刊と、5/30の朝日新聞朝刊・都内版にも会のお知らせが掲載されたので、お手元にあればご覧くださいね。

会場では毎日イベントがあり、体験できる楽しいワークショップや講演会などがありますよ。カタコトの会事務局から今年は何かやってくださいとのことで、私も今回、講演をすることになりました。

6/8(金) 15:00〜
カンボジア、ラオス、ミャンマーなど東南アジアの手織り物などについて、これまで撮影してきた写真をお見せしつつお話したいと思います。伊勢型紙や染めものについては、会場に行けば素晴らしい作品があり、職人さんたちもいることですし、どうしようかと考えましたが、伊勢型紙に関係ないテーマでもよいとのことなので、私が布作りなどの手仕事に興味を持ったきっかけとなる東南アジアの布についてお話しすることにしました。手仕事の布仕事つながりということで!

超絶で繊細な伊勢型紙をとりまく世界へ、お時間があればぜひお越しください。

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by mayumiish | 2018-06-04 16:36 | 日本

写真家です。文章も書きます ©Mayumi Ishii. All rights reserved.


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