人気ブログランキング |

カテゴリ:アジア( 77 )

ブータンの魔法

ブータンの取材旅から日本に帰ってきました。現地では毎日、話題満載だったのですが、ネットがほとんどできなくてブログが更新できませんでした。

ブータンでは、国内4個所にある「アマンコラ」ホテルに泊まりながら、編集者のIさんと共にティンプー、プナカ、ガンテ、パロの地方を車で巡ってきました。ブータンは初訪問でしたが、田園風景がどこか日本の眺めに似ているかと思えば、ヒマラヤの雪山が神々しく、そしてスピリチュアルな文化が色濃い国でした。

旅の始まりに、緋色の袈裟を身にまとったブータンのお坊さんがホテルまで来て、旅の安全祈願の儀式をしてくれました。お経を唱えてからクジャクの羽が入った壷の中の聖水を私たちの手に注ぎ、それを頭にかけると、最後に赤い糸を首に結んでくれました。糸は3日間ははずしてはならないとのこと。5分以内の短い儀式でしたが、チベットの声明にも似たお坊さんの低音の祈りの声を聞いて赤い糸を結んでもらった時から、魔法をかけられたように不思議とスピリチュアルな気分になって、それが旅の間ずっと続いたのでした。

ブータンには、日本では民話や神話で聞くような物事が現代にも起こっています。例えば、古代の高僧リンポチェの生まれ変わりという人が今もいて、人々は困りごとや病気の相談があるとリンポチェを訪ねるそうです。私たちのガイドさんのお兄さんもリンポチェで、ダライラマから手紙をもらったりダライラマに随行して世界を旅して歩いたそうです。

リンポチェにまつわる話しはどれも驚くことばかりです。ホテルスタッフの知り合いのお父さんが重病になったのでリンポチェのところを訪ねたら、リンポチェから「お父さんの年齢は59歳なので59匹の動物の命を助けることをしなさい」と言われたそうです。命を助けるとは、例えば魚を釣って(もともとブータンには魚釣りの習慣はない)その魚を川に戻すこと、カゴの中の鳥を逃がすこと、食肉になる予定の牛を解放すること、などだそう。そして、その家族は言われた通りに実行したのだそうです。

リンポチェの生まれ変わりだとなぜわかるのか、とガイドさんに聞いたら、子供の頃の挙動からとか、リンポチェの持ち物(帽子など)をほかのものと一緒に並べて子供に一つを選ばせ、生まれ変わりはリンポチェの持ち物をすっと選ぶのだとか(映画「リトルブッダ」で観たような!?)。

あちこちと撮影してきたのですが、今の季節、日の出が6時前と大変に早いものの、高い山々が遮って、朝の良い光の時間がとても短いのでけっこう苦労しました。そんな中、ゾンと呼ばれるお寺兼地方政府庁(ブータン独特の機能を持つ建築物)で高僧とお話をしたり、馬に乗って山に登ったりと、駆け足の旅ながらとても盛りだくさんだったので、少しずつまた書こうと思います。
by mayumiish | 2007-04-21 18:41 | アジア | Comments(0)

カンボジアのNGO

昨日カンボジアのシェムリアップからバンコクに来ました。ここで、今晩到着する編集者さんと合流して次の旅です。

今回、カンボジアではNGOの活動をする人々にもいろいろ会ってきました。この国には日本をはじめ、フランスやオーストラリアなどの多様なNGOがカンボジアの人々の援助、育成をしています。

その一つ、日本のNGO「かものはしプロジェクト」のプノンペンの事務所を訪問してきました。ここでは、カンボジアの孤児や家庭崩壊の子供を助けるNGOから、勉強のできる子を推薦してもらい、子供たちにコンピューターを無料で教えるPC学校の活動をしています。

事務所はプノンペンの通称ロシアンマーケットにほど近い場所にあります。現在、10台のノート型コンピューターを所有し、それらを使って午前と午後に分かれて学校帰りに子供たちが授業を受けています。12歳から18歳の子が学んでいるそうです。私が行った時は、エクセルソフトの使い方を練習していました。教師は若いカンボジア人です。

その日、クラスにいた一番若い子は13歳の女の子。話しを聞くと上手な英語で返事ができます。PCを学んで2ヶ月とのことでしたがすでにタイピングを覚え、PCの画面に「I like to study. I like football.」と小さな指先でタイプしてくれました。

コンピューターの作業を覚えれば今のカンボジアでは就職などに大変役立つと思うので、かなり効果的な活動だと思います。詳しくは「かものはしプロジェクト」のサイトを見てください。

ほかにも感心するユニークなNGO活動を見てきたのですが、ブログを書く時間があまりなくて紹介できません。とにかく、行くたびに変化が見てとれ、カンボジアは動いている、というのが強い実感です。

明日からはブータンへ行きます。
by mayumiish | 2007-04-10 09:32 | アジア | Comments(2)

黒い人さし指

黒い人さし指_a0086851_13322374.jpg昨日からシェムリアップに来ています。ところでカンボジアに着いたのは、地方選挙の前日でした。プノンペンに着いて空港からタクシーに乗ったら、私の大きなカメラバッグを見たドライバーに「選挙の写真を撮りに来たんですか?」と聞かれました。翌日の4/1が投票日だったのです。

選挙当日、せっかくだから(?)と、プノンペンに住む知り合いが投票所の見学に連れて行ってくれました。投票会場は日本と同様に学校の校舎です。学校の教師やボランティアが監視員をしていました。投票所はいくつかの教室に分かれていますが、現れる投票者はぽつんぽつんという印象で全体に大変のんびりとした雰囲気です。教室の中をのぞくと、椅子に座ったまま居眠りしている監視員がいたり、入り口近くでお弁当を食べている係員もいました。

緊張感がない投票所の背景は、カンボジアの第1党でフンセン首相が率いる人民党が圧倒的に強く、意外な結果になることはないと広く認識されているからのようです。実際、開票結果は予想通りでした。

写真を撮っても良いというのでスナップを撮りながら投票所をしばらく観察していると、投票を終えて教室から出てくる人の右手人さし指が必ず黒いことに気がつきました。二重投票を防ぐために、投票をした人のマークとして墨(?)の入ったツボに指を入れさせて黒い色に染めるのだそうです。同時に、選挙をさぼらずに投票に行ったことの証にもなるようです。
黒い人さし指_a0086851_13334359.jpg
でもこの黒い染料は強いようで「洗っても2,3日取れないんですよ」と会う人々が口々にぼやいていました。私も、織物の村などに行って人の手元を撮影する時に黒い人さし指が写ってしまうのでとても苦労しています。

選挙といえば、東京では都知事選の投票日がすぐですね。候補者の宣伝活動がいよいよ白熱の頃でしょうか。今回はユニークな候補者勢ぞろいですが投票率はどうなるでしょう。日本もカンボジアのように、投票した人がわかるようなマークをつけると徐々に効果が上がるかも?
by mayumiish | 2007-04-07 21:06 | アジア | Comments(2)

バイクで小トリップ

先月末からカンボジアに来ています。今は首都プノンペンに滞在中です。こちらは雨期直前の一番暑い時期で、気温は多分35度ぐらい。毎日とても暑いです。今晩は夜からのスコールが本降りになったようで、外はかなり激しい音で雨が降っています。

今日はプノンペンから、炎天下の中バイクを2時間飛ばして(といっても後部席)、ある絹織物の村に行ってきました。途中、広いメコン川をフェリーで渡り、たわわに実ったマンゴー林の中を抜け、土のでこぼこ道をジャンプしながらカメラバッグを抱えた小トリップです。この地域には車がほとんどなくて、バイクと自転車がほとんど。そして馬車や牛車が主要な運搬手段として活躍していました。

絹織物の村へは、プノンペンでクラフトショップを営む友人が連れて行ってくれたのですが、これまでほとんど外国人が訪れたことがないそうで、かなりピュアな村の生活を見ることができました。訪ねた家では、女性たちが機織り仕事、男性が米作り農家をしています。高床式になった家の敷地にはパパイヤやマンゴー、バナナの木がうらやましいほどの実をつけ、かなり自給自足の生活です。

カンボジアの米作りは2毛作で、現在ちょうど収穫シーズンです。その作業がひと段落ついたこの家族では、男性が暇になったからと、ご主人が調理を担当しているとのこと。お昼に、お手製のカンボジア家庭料理をふるまってくれました。メニューは魚のココナツ風味カレー、豚肉と野菜の煮物、パパイヤの漬物、白米です。どれも大変美味しくてびっくり。涼しいそよ風が吹き抜ける竹の縁台の上で食べたこのランチは、旅で時々遭遇する、忘れられない食事の記憶リストに加わりました。あともうしばらくプノンペンにいて、シェムリアップに移動します。
by mayumiish | 2007-04-04 01:37 | アジア | Comments(4)

バリ島から帰ってきました。

仕事でバリ島の取材に行き、今日帰ってきました。

前回のバリではアートや手仕事のクラフトにフォーカスしましたが、今回は、新しくオープンしたブルガリのリゾートホテルの取材です。

イタリアのブランド、ブルガリがホテル分野に進出して二つめとなるリゾートなのですが、さすがに一流ブランドならではのこだわりや、バリ島を意識したクリエイティブなデザインをすみずみまで表現し、かつ肩の凝らないカジュアルな開放感を感じられる素敵なホテルでした。ただ、私は日の出前から日没まであちこちと撮影に忙しくて、残念ながらのんびりできる時間は食事の時ぐらいだったのですけれど。

ホテルに宿泊していた日本人の建築家と知り合いになったのですが、その人が世界各地で見てきた中でも、格段にすぐれた土地(急勾配なのです)や素材の使い方、デザイン設計だと感心してお話ししていました。

今回の滞在中はリゾートから一歩も出なかったので、女性たちがバティックのサロン(腰巻き)を身に着けて寺院を行き来したりするようなバリ島らしい光景は、空港からタクシーでホテルに行く道すがらにちらりと見ることができただけでした。でも、バリ島のほかの場所で見た事がない素晴らしい布「ソンケット」をホテルで目にすることができ、アジアの布好きの私としては、もう一つの収穫でした。

ソンケットは、シルクの布に金糸、銀糸を使ってさまざまな模様を織り込んだ美しい手織りの布で、バリ島の王族や裕福な人々が式典などで身に着けるのだそうです。模様は花や月、蜂など自然界がモチーフです。他のアジアの国では、ブルネイでも式典の際に身に着けます。この布を一幅織るのに約6ヶ月かかるとのことですが、このホテルでは各ヴィラのベッドカバーにその精緻な布が使われています。そのことだけでも、ホテルの並々ならぬこだわりをひしと感じたのでした。
by mayumiish | 2007-01-26 21:05 | アジア | Comments(0)

眩く香港取材

先週末から、映画関係の仕事をしている友人のYさんと香港に行ってきました。雑誌の取材のために、ある香港映画スターの撮影です。ポートレート撮影のほかに、彼の主演映画が公開直前ということで記者会見、そして夜のプレミアの様子もと、目まぐるしいスケジュールで撮りました。

記者会見やプレミアでは香港現地の取材陣に交じって撮影することになり、向こうのプレスの人々は場所取りその他が過激なのでは、と初めての体験に少し不安だったのですが、会場に入ってみると、意外やみんなお行儀が良くて節度がありました。見ていると、カメラマン達が記者会見のスタッフに注文して、後ろの方に設置されていた写真のプレス席を最前列に変えてしまったりと、現場での対応が柔軟で興味深いのです。そこで私もサバイバル精神を発揮してとりあえず最前列の真ん中に陣取ることができました。隣に並ぶ香港人カメラマンたちは、私が日本から来たと知ると親切にアドバイスしてくれました。彼らいわく「ここは北京でも上海でもないから場所取りで心配しなくて大丈夫。メインランド(中国のこと)のプレスはすごいよー」とのこと。複数の人が言うことには、中国では秩序も席順もあったもんじゃなく、怒濤の場所取りが猛烈なのだそうです。少しほっとしつつも、香港の記者会見は開始が遅れるのがざらで、1時間遅れることもあるとか。この時は、約20分ぐらい遅れて始まった気がします。

香港での映画記者会見は、日本で目にするのと全く違っていて新鮮でした。まず、全体にとてもカジュアルです。ステージ上に大きなソファと座り心地の良さそうな椅子が置かれ、そこに映画の出演俳優たちや監督、そして男女2人の司会者までもが座って、たいへん和やかに進みます。記者会見というより、まずステージ上の彼らだけで、どんどんと話しが進んで、まるで座談会のような感じ。そして、次から次と、記者会見にしては不思議なものがステージに登場してきました。梅干しのような食べ物、湯気が立ち上る鍋料理、植木鉢に入った花やジョーロなど。それらを舞台で食べたり、花に水をやったりしています。これらの品は俳優たちがお互いにプレゼントし合ったものだそう。まるで一種のショーのようで、見ていてとっても面白いのです。俳優たちも気取ったところがまるでなく、和気あいあいとしているのが印象的でした。きっと香港ではカリスマチックだったり気取ったスタイルは受けないのでしょうか。

そして、夜は新作映画の上映に先駆けてのプレミアイベントです。香港の中心地にあるタイムズスクエアにステージが設置されて、黒ジャケットやドレスで着飾った俳優達が
優雅に登場。会場は、大勢集まった女性ファンたちの声援と近づいてきた雨雲で湿気のある熱気に包まれました。面白いのはファンたちがそれぞれにスターの名前の入った大きな電飾ボード(手作り?)やポスターを掲げるのですが、ボードなどをバリケードにして自分の顔を隠す習慣があるそうなのです。スターの追っかけははしたない、みたいな風潮があるのかもしれません。

一番多く目についた電飾ボードは「華」の文字。「華」「華」「華」って、一体何?と思ったら、今回私がポートレート撮影した映画スターのニックネームが「華仔」なのだそうです。香港映画ファンの人ならすぐにわかるでしょうか。ポートレート撮影は非常に限られた時間の中で大変に難しかったですが、なんとか撮ることができました。これに関連する記事は、1月に出版される雑誌に掲載の予定です。

いつものアジア取材とひと味違う旅でしたが、香港のエンターテインメント業界をちらりと垣間見ることができ、アジアのパワーを改めて感じて帰ってきました。
by mayumiish | 2006-11-22 15:17 | アジア | Comments(0)

Divercity is Value

アジアは、単に「アジア」と一言でくくれない多様性を抱えている地域です。人々が信仰する宗教だけでも仏教、ヒンズー教、イスラム教、キリスト教など多くがあり、民族の数も数えきれないほど多彩です。

10月初旬にシンガポールに取材に行きました。まさに10月のシンガポールは多民族文化の国家であることを示す特別な月のよう。チャイナタウンでは「中秋」の満月を祝うランタンのお祭り、リトルインディアでは「ディヴァリ」と呼ばれる光の祭り、アラブ地区では、ラマダン開けの「ハリラヤ」のお祭りに備えて、各地区の大通りにそれはカラフルな電飾やデコレーションがしてあるのでした。

そんな中、シンガポールが国を挙げての初の国際的現代アート展、シンガポール・ビエンナーレ2006が11月12日まで開催中です。世界各地からのアーティストの作品をシンガポールの中心部、全19ヶ所の会場に点在させて展示しているのですが、アジアのアーティストを特に多く招いているのがこのビエンナーレの特徴です。日本からも草間彌生(オーチャード・ロードの並木をカラフルな水玉にして目立ってました)、杉本博司など有名アーティストが出品しています。

さまざまな作品の中、小さいながら印象深いものがありました。場所は旧市庁舎(City Hall)会場。ガラスケースに入った、ピカピカの金塊(メッキ)の表面に、

「The Diversity is Value」(多様性は価値)

との文字が刻まれている作品です。
作者はHossein Golbaというアーティスト。1956年生まれのイラン人です。

アジアの文化の豊かさは多様性にある、と見る作者が、人間の社会で「多様性」が大きな価値を持てば、他者への理解や、忍耐、許容などがもっと重要になるというメッセージを込めているのだそう。また、金塊をシンボリックなモチーフにしたのは、金にはユニバーサルな(国境を越えた)価値があるからということだそうです。

また、この金塊もどき作品は、ちょうどビエンナーレの開始頃にシンガポールで開かれたIMFの定期会合にもリンクさせているそうです。お金や商業主義への崇拝、また、お金自体は良いも悪いもないが、それを使う人によって意味が変わってくるという趣旨も含ませているとのこと。

ビエンナーレの公式ガイドブックによると、作者のGolbaさんは20歳の頃にイタリアに移って西洋のアートに触れて学んでいる間に、自国イランやアジアの文化の背景について考えるようになったそうです。現在はアジアのアートをリンクさせる活動もしているらしい。

「Diversity is Value」。私も共感する言葉ですが、作品としてメッセージする必要があるほど、逆に今の世界は多様性を認める社会ではないことを表わしてもいるようですね。シンガポール・ビエンナーレには社会的メッセージ性の強い作品も目立ったのですが、この作品の作家がイスラム国家のイラン出身というのも興味深かったのでした。

取材してきたシンガポール・ビエンナーレの記事が来週出る予定です。ただ、Golbaさんのこの作品は紹介していないのですが。記事が出たらまたお知らせしますね。
by mayumiish | 2006-11-01 00:33 | アジア | Comments(2)


写真家です。文章も書きます ©Mayumi Ishii. All rights reserved.


by mayumiish

更新通知を受け取る

カテゴリ

全体
PROFILE
MEDIA
アジア
ヨーロッパ・アフリカ
アメリカ・オセアニア
日本
PHOTOGRAPHY
地球・自然・エコ
ヨガ的生活
フルーツ断食
フェアトレード
ボルネオ島
アート
人々
ARCHIVES
ARCHIVES(リゾート系)
WEB WORK
フォトボランティア
つれづれ
東日本大震災関連

最新の記事

「週刊朝日」歴史をたどる旅 ..
at 2019-11-27 15:52
『第23回 写真家達によるチ..
at 2019-11-20 22:44
『婦人画報』12月号/フラン..
at 2019-11-08 23:20
ボランティアの心
at 2018-07-17 00:12
玉のごとく
at 2018-06-30 07:30

外部リンク

ライフログ

食べるヨガ―今日からはじめる菜食レシピ48 (vela BOOKS)

検索

以前の記事

2019年 11月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 01月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2017年 02月
more...

タグ

i2i

  • このブログに掲載されている写真・画像・イラストを無断で使用することを禁じます。

その他のジャンル