Divercity is Value
アジアは、単に「アジア」と一言でくくれない多様性を抱えている地域です。人々が信仰する宗教だけでも仏教、ヒンズー教、イスラム教、キリスト教など多くがあり、民族の数も数えきれないほど多彩です。
10月初旬にシンガポールに取材に行きました。まさに10月のシンガポールは多民族文化の国家であることを示す特別な月のよう。チャイナタウンでは「中秋」の満月を祝うランタンのお祭り、リトルインディアでは「ディヴァリ」と呼ばれる光の祭り、アラブ地区では、ラマダン開けの「ハリラヤ」のお祭りに備えて、各地区の大通りにそれはカラフルな電飾やデコレーションがしてあるのでした。
そんな中、シンガポールが国を挙げての初の国際的現代アート展、シンガポール・ビエンナーレ2006が11月12日まで開催中です。世界各地からのアーティストの作品をシンガポールの中心部、全19ヶ所の会場に点在させて展示しているのですが、アジアのアーティストを特に多く招いているのがこのビエンナーレの特徴です。日本からも草間彌生(オーチャード・ロードの並木をカラフルな水玉にして目立ってました)、杉本博司など有名アーティストが出品しています。
さまざまな作品の中、小さいながら印象深いものがありました。場所は旧市庁舎(City Hall)会場。ガラスケースに入った、ピカピカの金塊(メッキ)の表面に、
「The Diversity is Value」(多様性は価値)
との文字が刻まれている作品です。
作者はHossein Golbaというアーティスト。1956年生まれのイラン人です。
アジアの文化の豊かさは多様性にある、と見る作者が、人間の社会で「多様性」が大きな価値を持てば、他者への理解や、忍耐、許容などがもっと重要になるというメッセージを込めているのだそう。また、金塊をシンボリックなモチーフにしたのは、金にはユニバーサルな(国境を越えた)価値があるからということだそうです。
また、この金塊もどき作品は、ちょうどビエンナーレの開始頃にシンガポールで開かれたIMFの定期会合にもリンクさせているそうです。お金や商業主義への崇拝、また、お金自体は良いも悪いもないが、それを使う人によって意味が変わってくるという趣旨も含ませているとのこと。
ビエンナーレの公式ガイドブックによると、作者のGolbaさんは20歳の頃にイタリアに移って西洋のアートに触れて学んでいる間に、自国イランやアジアの文化の背景について考えるようになったそうです。現在はアジアのアートをリンクさせる活動もしているらしい。
「Diversity is Value」。私も共感する言葉ですが、作品としてメッセージする必要があるほど、逆に今の世界は多様性を認める社会ではないことを表わしてもいるようですね。シンガポール・ビエンナーレには社会的メッセージ性の強い作品も目立ったのですが、この作品の作家がイスラム国家のイラン出身というのも興味深かったのでした。
取材してきたシンガポール・ビエンナーレの記事が来週出る予定です。ただ、Golbaさんのこの作品は紹介していないのですが。記事が出たらまたお知らせしますね。
10月初旬にシンガポールに取材に行きました。まさに10月のシンガポールは多民族文化の国家であることを示す特別な月のよう。チャイナタウンでは「中秋」の満月を祝うランタンのお祭り、リトルインディアでは「ディヴァリ」と呼ばれる光の祭り、アラブ地区では、ラマダン開けの「ハリラヤ」のお祭りに備えて、各地区の大通りにそれはカラフルな電飾やデコレーションがしてあるのでした。
そんな中、シンガポールが国を挙げての初の国際的現代アート展、シンガポール・ビエンナーレ2006が11月12日まで開催中です。世界各地からのアーティストの作品をシンガポールの中心部、全19ヶ所の会場に点在させて展示しているのですが、アジアのアーティストを特に多く招いているのがこのビエンナーレの特徴です。日本からも草間彌生(オーチャード・ロードの並木をカラフルな水玉にして目立ってました)、杉本博司など有名アーティストが出品しています。
さまざまな作品の中、小さいながら印象深いものがありました。場所は旧市庁舎(City Hall)会場。ガラスケースに入った、ピカピカの金塊(メッキ)の表面に、
「The Diversity is Value」(多様性は価値)
との文字が刻まれている作品です。
作者はHossein Golbaというアーティスト。1956年生まれのイラン人です。
アジアの文化の豊かさは多様性にある、と見る作者が、人間の社会で「多様性」が大きな価値を持てば、他者への理解や、忍耐、許容などがもっと重要になるというメッセージを込めているのだそう。また、金塊をシンボリックなモチーフにしたのは、金にはユニバーサルな(国境を越えた)価値があるからということだそうです。
また、この金塊もどき作品は、ちょうどビエンナーレの開始頃にシンガポールで開かれたIMFの定期会合にもリンクさせているそうです。お金や商業主義への崇拝、また、お金自体は良いも悪いもないが、それを使う人によって意味が変わってくるという趣旨も含ませているとのこと。
ビエンナーレの公式ガイドブックによると、作者のGolbaさんは20歳の頃にイタリアに移って西洋のアートに触れて学んでいる間に、自国イランやアジアの文化の背景について考えるようになったそうです。現在はアジアのアートをリンクさせる活動もしているらしい。
「Diversity is Value」。私も共感する言葉ですが、作品としてメッセージする必要があるほど、逆に今の世界は多様性を認める社会ではないことを表わしてもいるようですね。シンガポール・ビエンナーレには社会的メッセージ性の強い作品も目立ったのですが、この作品の作家がイスラム国家のイラン出身というのも興味深かったのでした。
取材してきたシンガポール・ビエンナーレの記事が来週出る予定です。ただ、Golbaさんのこの作品は紹介していないのですが。記事が出たらまたお知らせしますね。
by mayumiish
| 2006-11-01 00:33
| アジア
|
Comments(2)
写真家です。文章も書きます ©Mayumi Ishii. All rights reserved.
by mayumiish
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