カンボジアの絹織物をなりわいとした森本喜久男さん

今晩ツイッターを見ていたら、ショックなニュースがタイムラインに流れてきました。
カンボジアで長い年月、絹織物作りにたずさわり、「クメール伝統織物研究所」(IKTT)を主催していた森本喜久男さんが、7月3日にお亡くなりになったそうです。IKTTのフェイスブックページを見たら、悲しいことに、たしかにそのように書かれてありました・・・。
森本さんには10年以上前、雑誌の取材で一度だけお会いしたことがあり、その時は大変にお元気で、気さくな方という印象がありました。カンボジアのシェムリアップで高床式民家に住み、そこに絹織物の大きな工房を持っていました。村から機織り職人の女性たちを集めて、カンボジア産の黄金色のクメール生糸を育てながら、伝統的なやり方で手織りの絹織物を作る活動を行っていらっしゃいました。工房の糸車に巻き付けられたクメール生糸の鮮やかな黄色を今でも覚えています。
森本さんはもともと京都で友禅のお仕事をしていたそうで、内戦後にかなり廃れてしまったカンボジア伝統の織物の状況について現地で調査をしたことが、カンボジアの絹織物との出会いだったようです。森本さんが、「当時、ユネスコのためにレポートを作ったんですよ」と、ご自分で作ったA4サイズの冊子を私にくれました。そこにはカンボジア各地の織物の村々、作られている織物の種類などが詳しく書かれていて、今でも大事にとってあります。
その時にお会いして以来、ずっとごぶさたしていましたが、ガンで闘病中というニュースをインターネット情報で知りました。しばらく前、日本のテレビ番組でご活動が取りあげられていたようですね。
私はアジアの織物では、上品な光沢が美しいカンボジアの絹織物が一番好きで、伝統的なイカット(絣)の精緻さはずっと見ていても飽きないほどです。そんなカンボジアの手仕事は、ポルポト時代に一度消え、見事に復興したという歴史があるだけに、森本さんのお仕事はなおさら貴重だったと思います。
今年の1月、取材仕事で久しぶりにカンボジアに行ったのですが、プノンペンだけに行き、シェムリアップに足を運びませんでした。次回行く時にはIKTTにも訪問したいと思っていたので、森本さんの訃報は大変に残念です。残されたスタッフや職人さんたちの悲しみははかりしれません・・。心からご冥福をお祈りいたします。
by mayumiish
| 2017-07-06 02:22
| アジア
|
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