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ラオスが舞台の映画です。『逆行』

3月ですね!
ひと雨ごとに春が近づいてくるのを感じます。

先日、試写会で映画『逆行』を観てきました。原題は「RIVER」。

送られてきたチラシによると「異国の地でのバカンスが・・・。逃亡者となった若きアメリカ人医師が、絶望的な疾走の果てに迫られる重大な決断とは・・・」とありました。

逃亡者のロードムービー?ということ以外、それほど予備知識がないまま映画のチラシをよく読むと、舞台がラオスとあり、さらに興味を持って観ました。

ストーリーは、ラオスの小さな村にあるNGOの病院で働く若いアメリカ人医師が、ふとしたことがきっかけで殺人を犯してしまい、警察に追われる身となってしまいます。医師を演じるのは、ロッシフ・サザーランド。同じく俳優のキーファー・サザーランドの異母兄弟だそうです。映画の最初のほうで事件が起こり、そこからずーっと逃げる逃げる。村から首都ビエンチャンに行き、メコン川を渡って・・・。最後に「なるほど、そうなんだ?』という意外な結末になるまで、ストーリー展開の読めないドキドキの緊張感が続くのでした。監督はジェイミー・M・ダグ。ミュージックビデオ制作から映画に移り、この作品が初の長編作とのことです。そういえば、セリフが少ない部分でミュージックビデオのワンシーンのような場面があり、ああ、やはり音楽のビデオを作ってきた人なんだな、と納得しました。

舞台がラオスということで、どんな風に描かれるだろうと思っていたら、逃亡者としての心象風景を現実に投影するとこうなのだろうというものを表す意図だった気がしました。ラオスの田舎は緑が多く、大変にのんびりとした場所で、特にメコン川が流れるエリアは山並みなども美しい風景なのですが、逃亡者の目には入らないかのように、重い重金属的な音楽が使われ、全体に重苦しい雰囲気を出していました。そういう意味では効果的な音楽の使い方。また、夜のシーンや怪しげな表情を醸すラオス人など、きっと欧米人の目に映るアジアのイメージなのだろうと思える質感や断片を、印象的に切り取っていました。

ストーリーはここであまり書きませんが、主人公をはじめ、助演の俳優たちもみないい味を出していました。病院の車を運転する役割の男性を演じるラオス人の俳優は、映画プロデューサーや脚本家でもあり、ラオスの近代映画のパイオニア的な人とのこと。また、短い登場ながら、安定感ある印象的な雰囲気を感じたバーテンダー役の俳優は、他の映画で最優秀主演男優賞を受賞したことのあるタイ人の俳優とのことです。

監督のインタビューを読むと、突然暴力に巻き込まれる医師を通して、人間の無関心や、秘められた暴力性にも焦点を当てたとのこと。ロードムービーとして、また人間の心理や行動力、倫理感を考えさせる映画としても面白い作品でしたよ。
今月3/11から公開とのこと!



by mayumiish | 2017-03-04 05:19 | アジア | Comments(0)
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